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今月のOh!ススメ本

上越店 「渡辺」のOh!ススメ本

  • 2016年09月のオススメ本
  • サミュエル・フラー自伝 わたしはいかに書き、闘い、映画をつくってきたか
  • サミュエル・フラー/著 クリスタ・ラング・フラー/著 ジェローム・ヘンリー・ルーズ/著 遠山純生/訳
  • 価格/6480円
上越店
渡辺
「サミュエル・フラー」を識りたいのなら本書を読むだけだ。ほかの手段はありますまい。しかし刮目せよ。そして尻込みするなかれ。寸毫の仮借も感じられぬ、名状しがたい荘重な背幅。我が視力を疑う、実際忌々しいほどの価格設定(6000円也)。しかるに筑摩書房から出版されていたフラーの自叙伝、冒険小説、すべては絶版だ。世は憤慨すべきことでいっぱいである。わたしはこのような危殆を憂い、麗しい犠牲的精神により本書を購入するのである。そして眼光紙背に徹して700ページ超の本書を読み、後顧の憂いのないようにオススメをする。このような仕儀に立ち至ったしだいである。
これだけ言うのだから「フラーとは決して隅に置けぬエラいひとに違いない」と誰もがおもうに違いない。でも何てこともない、サミュエル・フラーとはアメリカの映画監督である。しかし本書を読めば、たちどころにフラーの奥深い魅力の鉱脈にぶちあたる。フラーは13歳で事件記者になった。第二次大戦が開始されると歩兵に志願し、ノルマンディーに上陸する。上陸前夜、かのロバート・キャパの撮ったポートレートが『ライフ』に載る。マグカップを片手に炯眼でカメラを射る無名の兵士。この男こそ、サミュエル・フラーそのひとだ。フラーはのちに強制収容所の解放にも関わる。まったく、それ自体が物語になりそうなものばかりで、叙事詩的英雄そこのけである。フラーは『東京暗黒街・竹の家』の撮影のため、48年に来日している。記者会見で日本最大のコミュニスト系新聞社の記者が言った。「あなたは撮影に列車を使用したいとのことですが、毎日その列車を利用して通勤する貧しい人々はどうすればいいのでしょうか?」「ご心配するには及ばない。20世紀フォックスがそうした人々を快適なバスで職場まで送迎いたしましょう」そう、目も眩むようなこれらエピソードがくびすを接し、本書を“全体小説”のように大伽藍と化している、のである。
開巻、マーティン・スコセッシはこう言い放つ。「ローリング・ストーンズが嫌いだとしたら、すなわちロックンロールが嫌いだということだ、(中略)。わたしとしては、サム・フラーの映画を好きでないのなら、その人は映画好きではないのだと思う。あるいは少なくとも、映画というものをわかっていないのだ」なるほど、ある世代にとってのフラーはそうだ。そして結論はこうだ。フラー知らずともこの本は抜群におもしろい。「こんな人生があったのか」と大向うを唸らすこと受け合いである。鶴首して待った甲斐があった。
サミュエル・フラー自伝 わたしはいかに書き、闘い、映画をつくってきたか
著者サミュエル・フラー/著 クリスタ・ラング・フラー/著 ジェローム・ヘンリー・ルーズ/著 遠山純生/訳
出版社boid
ISBNコード9784865380453
価格6480円
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