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今月のOh!ススメ本

静岡本店 「藤浪」のOh!ススメ本

  • 2016年10月のオススメ本
  • 本日は、お日柄もよく
  • 原田マハ/著
  • 価格/700円
静岡本店
藤浪
京極夏彦のデビュー作『姑獲鳥の夏』に、主人公の中禅寺明彦のこんなセリフがあります。
「呪いはあるぜ。しかも効く。呪いは祝いと同じことでもある。何の意味もない存在自体に意味を持たせ、価値を見出す言葉こそ呪術だ。プラスにする場合は祝うといい、マイナスにする場合は呪うという。呪いは言葉だ。文化だ。」。主人公の属性(拝み屋)や、呪術の民俗学的背景はともかく、『本日は、お日柄もよく』を読んで真っ先に浮かんだのはこのことでした。
もちろん、今作はそんなおどろおどろしい作品ではありません。むしろ、さわやかなビルドゥングスロマーンとでも言うべき、主人公の成長物語です。27歳のOL二ノ宮こと葉は、恋心を寄せていた幼馴染の結婚式で大ポカをやらかして式場の外で凹んでいた時、伝説のスピーチライター久遠久美と出会います。その感動的な祝辞に心を揺さぶられたこと葉は、彼女のもとで言葉との格闘に日々を費やすことになります。うまいことライバルとして出現する広告代理店のコピーライターの圧迫的な存在にフラフラしつつ、その刺激を成長の糧にかえて自らを律した彼女の行きつく先は、実は国会議員の子息であった幼馴染の、初選挙の選挙参謀(スピーチライター)という立場でした・・・。
著者の原田は、この物語を書き始めたころは世間ではバラク・オバマが大統領選を戦っていたころだったと後に振り返ります。そして、彼のスピーチの巧みさは、いまやほぼ世界の常識となりました。紡ぐ言葉が人々の心をとらえ、行動を促す。それが今より少しだけ良い方向であったなら、軌跡は変化(CHANGE)として万人に受け入れられる。言葉の持つ力をまざまざと見せつけられた時でした。折しもいまアメリカでは彼の次の席をめぐる戦いの真っ最中。呪いにも祝いにも転化しうる言葉の魔力を吟味してみる良い機会かもしれません。些か強引ですが、注目すべき存在にアトレティコ・マドリー監督のディエゴ・シメオネも挙げておきましょう。彼の繰り出す言葉は、ひょっとしたらペップやモウを超えているかもしれません。是非、ご注目を(そんな私はバルサ好き)。
原田の他の作品では、『カフーを待ちわびて』(宝島社)『楽園のカンヴァス』(新潮社)『生きるぼくら』(徳間書店)をオススメします。いずれも文庫になっていますので、お手軽にお求めいただけます。是非、当社各店の文庫売場でお手に取ってお確かめください。
本日は、お日柄もよく
著者原田マハ/著
出版社徳間書店
ISBNコード9784198937065
価格700円
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