TOP > 今月のOh!ススメ本
今月のOh!ススメ本

静岡本店 「鍋倉」のOh!ススメ本

  • 2016年12月のオススメ本
  • よるのばけもの
  • 住野 よる 著
  • 価格/1512円
静岡本店
鍋倉
「君の膵臓をたべたい」、「また、同じ夢を見ていた」に続く、3作目の小説。
 主人公の「僕」は高校生、クラスの中でもうまく立ち回って、これでいいかこれが正解なのかと問いながら、クラスの規律を乱さぬよう、誰にでも好かれるようなクラスメートの役回りを演じている。
 僕は突然夜になると、足は6本、目は8個の、黒い粒子に包まれた“ばけもの”に変身してしまうようになった。ばけものになったことに驚き戸惑いながら、毎晩のように夜の散歩に繰り出していく。夜のテーマパーク、閉店後誰もいないデパート、行ってみたかった外国・・・。そして忘れ物を取りにいつも通っている学校へ向かった僕は、教室でクラスの除け者にされている矢野さつきに出くわす。矢野さんは「夜休み」と称して、1時間だけ許された時間を教室で一人すごしていた。驚くことに矢野さんはばけものの正体が僕であることをすぐに見抜いた。
 昼間の学校では他のクラスメートと同じように矢野さんを無視する僕。けれども夜になってばけもの姿のままで学校に通うようになって、二言三言矢野さんと言葉を交わすうちに、仲が良かったはずのクラスメートや親友の知りたくなかった姿、一見理解不能な行動を矢野さんがとった理由など、昼間の僕だけでは知りえなかったたくさんのことを知ってしまう。僕は何かが違うことに気づく、だけど昼間の僕はみんなにとっていいクラスメートでいたいがために行動を起こすことができない。止められない、変わることのできない自分、どうしようもなく感じる違和感、そしてその鬱積がたまった時、昼間の僕がとった行動とは・・・!?
 高校生の話に見えて、年齢など関係なく、誰しも心当たりのある問題を抱えている。仲間意識に支配されて何もできないでいる息苦しさ、自分の所属している集団が間違った方向に進んでいくのを止められない歯痒さ、言い出せない自分への苛立ちにさいなまれながらも、人は何かに怯え自分を守るために残酷な事にも、いとも簡単に手を染めてしまう。
 私たちは誰もが主人公の僕と同じようにばけものに変身する可能性を抱えて生きている。その可能性は決して消えることはない。それはばけものの姿が、心の隅の大事な何かに思いがけず光を当てられた時に生じる影のようなものだからだろう。その影に気づかないふりをして、誰にでも好かれるような人として振舞う前に、ばけものとちゃんと向き合おう、格闘しよう、そうして毎日を生きていこう。それは「ありのままに」とか甘ったるい自己啓発みたいなものではなく、自分自身にもっと一本筋を通して生きることなのではないだろうか。
夜になると、今日も街の中をたくさんのばけものたちが走っている、さまよっている、火を吐いている、吠えている。だけど何も怖がることはない。それは誰かが懸命に自分自身と戦っている姿なのだから。
よるのばけもの
著者住野 よる 著
出版社双葉社
ISBNコード9784575240078
価格1512円
店舗の在庫状況をお知りになりたい方は、お電話にてご確認ください。
  • 今月のOh!ススメ本・メニュー
  • 今月のOh!ススメ本
  • バックナンバー
  • 戸田書店店舗情報
  • 全国店舗一覧
  • 東日本店舗一覧
  • 西日本店舗一覧

求人情報

これから出る本

季刊「清水」

このページの先頭へ