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今月のOh!ススメ本

静岡本店 「藤浪」のOh!ススメ本

  • 2017年06月のオススメ本
  • 阿蘭陀西鶴
  • 朝井まかて/〔著〕
  • 価格/756円
静岡本店
藤浪
時代小説は喰わず嫌いでほとんど手を伸ばしたことがありませんでした。今回取り上げた朝井まかてにしても、2014年『恋歌』で直木賞を受賞した際に初めて知ったくらいで、その時でさえ、せっかくなら読めばいいものを仕入れに追われて手に取ることは無くといったていたらく。お客様にお奨めするクセに自分は読んでいないという本屋の恥部を曝してしまっていやはやなんとも。とある出版社のご担当者の推奨を受け(Nさん、ありがとう!)ようやく手にしたという次第です。
『阿蘭陀西鶴』は、江戸前期を代表する作家井原西鶴の物語。ただし、視点は本人ではなく、その一人娘おあい。おあいは、盲目でありながら亡き母に叩き込まれて料理も裁縫も抜群。勝手きままでええ格好しいで自慢に明け暮れ俳諧に現を抜かす父西鶴の身の回りの世話に忙殺される毎日。やがて、俳諧師として限界を感じたか、西鶴は長編の物語を書き上げます。それが「好色一代男」。私たちの知る西鶴の代表作の誕生です。その後、紆余曲折あありながらも、やがておあいも父に対する見方を変え、西鶴は西鶴で好色物とは一線を画した市井の人々の物語「世間胸算用」をしるして、と続きます。
井原西鶴ともなれば人物伝は数多あります。でも、それらは当然客観的な記述であって、その中で西鶴が関西弁で喋り倒すことなんてないですからね。「阿蘭陀西鶴」ほど生身丸出しで色味鮮やかなんてことはないわけです。また、おあい視点というのも良い。健気で慎ましやかで、でも背筋の伸びた人物像は感情移入するに充分ですし、西鶴を観察する者としての立ち位置で読者をこの小説に引き込む役回りを務めてもいます。終盤、ある事情で父娘が二人布団に包まっているシーン、たまらなく心揺さぶられますので、楽しみに読み進めてくださいね。
『阿蘭陀西鶴』、読み終えたら『恋歌』(講談社文庫)はマストで。こちらは歌人中島歌子の物語。文学以外の人物伝ということならこの4月に文庫化された『若冲』(文春文庫)は如何でしょう。主人公はご存じ伊藤若冲そのひと、なかなかの出来です。
阿蘭陀西鶴
著者朝井まかて/〔著〕
出版社講談社
ISBNコード9784062935234
価格756円
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