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今月のOh!ススメ本

富士宮店 「山口」のOh!ススメ本

  • 2018年09月のオススメ本
  • 脇役本
  • 浜田研吾/著
  • 価格/1296円
富士宮店
山口
脇役本とは、主に「脇役」として活躍した、日本の役者たちに関する古本のことを、著者が勝手に古本の一つのジャンルとして命名したものです。シブい脇役俳優が大好きな作者が、古本あさりの中で集めた「脇役」に関する古本をミニコミ本にまとめたところ、意外な反応があり、2005年に単行本を発売。さらに今回文庫書下ろしも100ページ以上加えてちくま文庫として発売されました。

 古い映画、舞台、テレビドラマで脇役として活躍した50人余りの今は亡き役者たち。彼らに関する古本〈自叙伝、芸談、エッセイ、研究書、対談集、ミニコミ本等色々〉を窓口に、それぞれ波乱の人生が語られます。著者は74年生まれとまだ若い方ですが、昔の役者や芸能への愛情と知識には驚嘆させられます。戦前戦後の歌舞伎界の歴史、新劇、新派、新国劇などの劇団と役者の変遷など、この年齢でなぜここまで詳しいのか? ただ知識があるだけではなく、著者が見た実際の舞台や映像からの印象など、自分の身の回りのエピソードから語られる文章が魅力的でついつい引き込まれます。

 さて特に印象に残ったものとしていくつか。
 ヤクザ映画などで大悪の印象の内田朝雄、「私の宮沢賢治」「続 私の宮沢賢治」という著書では、前回の直木賞で話題になった賢治の父親に関しても考察。40年以上賢治研究に取り組んでいたそうで映像で見る姿と実生活のギャップに驚きます。
『必殺仕掛人』の元締め山村聰、へらぶな釣りの趣味がこうじて「釣りひとり」を出版、1500万円かけて自主記録映画『へらぶなのすべて』を製作、さらに〔釣りとコーヒーの店ポイント〕というへらぶな専門店を開店、映画テレビに出まくってお金を捻出するも、経費はかさみ閉店を余儀なくされる。温厚そうな顔なのにそこまでと、これまたびっくり。
この本のラストは吉田義男(『男はつらいよ』の最初の場面、寅が見る夢の寸劇に登場していた)、日本画の入江波光の弟子として、大戦中、法隆寺壁画模写事業の助手を務めていたとは。「波光先生を想う」という本に込められた吉田の想いにはグッときます。
 その他、著者が古本屋のバイトをした折に小沢栄太郎の未亡人と交わした蔵書をめぐる会話。加藤嘉と水上勉のエピソード。八代目市川團蔵の入水自殺を描いた戸板康二の本。ミニコミ本から「岸田森 夭折の天才俳優全記録」が2017年に発売されるまで。草野大悟、宮口精二、中村伸郎、伊藤雄之助、などなど魅力いっぱい。平野甲賀が装丁した成田三樹夫の遺稿句集「鯨の目」。加藤武が身の回りの映画人、舞台人を語る「昭和悪友伝」。抜き書きだけ読んでもその語り口に魅了される三代目市川左團次の聞き書き本などはぜひ手に取って読んでみたい。

 最後にこの文庫、南伸坊による6人の役者の顔が表紙となっていますが、さらっと描かれた表情にはなんとも言えない味わいが。
脇役本
著者浜田研吾/著
出版社筑摩書房
ISBNコード9784480434944
価格1296円
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