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今月のOh!ススメ本

熊谷店 「渡辺」のOh!ススメ本

  • 2018年11月のオススメ本
  • 本が好き、悪口言うのはもっと好き
  • 高島俊男/著
  • 価格/950円
熊谷店
渡辺
「生きざま」とか言われると、気分が悪くなる。おちおちテレビなんて観ていられない。「誰々の生きざま」だの「生きざまをみた」とか聴こえてくると、あ~もう気分が悪い。このオブセッション(?)は、ここ数年来の現象なので、ことばの出現も僅々だろうと勝手に決め込んでいた。ところが、「言い出した奴の息の根をとめてやりたい、知らないのか、これは「ひどい死にざま」という風に、悪い意味にしか使わないのだ、ざまあ見ろ!」(『嫌なことば』中桐雅夫)、という詩が昭和にあり、驚いた。こうなると、もはや手遅れの感もあり、抵抗を試みても蟷螂の斧である。なんとも度し難い。辞は達するのみで良いのではないか、そう思ったりもするが、やっぱり気持ちが悪い。先達はあらまほしき事とある。それではと、ちくま文庫から復刊された本書を危坐し再読する。この不全感を解消するための良薬となってくれるはず。ネタを割ってしまうが、本書はことば尻を捕らえてイヤミを言ったりするのに最高のテキストでもある。
ミステリを読んでいると、滅多矢鱈に出てくる「呆然(ぼうぜん)」なる文字の解明。新聞お気に入りの表現「~と分析する、指摘した」を扱き下ろし、活字メディアのアラビア数字表記についての考究もなされる。ここでは、不愉快なことばが博引旁証の末に、確固たる信念によって、片端からぶった斬られる。小気味よいリズムの名文である。
国語辞典を「過去との対話」ツールと定義して著者はいう、「多くのことばと事物は、過去にあって現在もある。しかし一部のことばや事物は、過去にはなくて、現在はある(あるいは生まれつつある)。また一部のことばや事物は、過去にあって、現在はなくなった。過去と対話せず、現在と語るのみでも、生きるだけなら生きられる。しかしそれでは、自分がどこにいるのか、どういう道筋をたどってここにいるのかさえわからないではないか」。
なるほど、つまり「ことば」には「自己」が立脚している「歴史」が伏在する。この揺らぎが、わたしの不全感の原因であろうか。およばずながら、わたしもこれまで通り、これまでの日本人が使ってきたように、ことばは使いたい。タイトル通りの書評コーナーもあり、面白くてタメになるが、よく知られているように、この本には有名な「『支那』はわるいことばだろうか」が収録されている。ところで、本書でやり玉に挙げられていることばに「生きざま」は、無い。残念。
本が好き、悪口言うのはもっと好き
著者高島俊男/著
出版社筑摩書房
ISBNコード9784480435323
価格950円
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