山形店 「笠原」のOh!ススメ本

掃除屋(クリーナー) プロレス始末伝
2019年08月のオススメ本
掃除屋(クリーナー) プロレス始末伝
黒木あるじ/著
価格/713円
 五十歳目前のベテランプロレスラー、ピューマ藤戸。大会のメインイベントで試合をすることもなければ、タイトル戦線に絡むこともなく、いつも前座試合を黙々とこなしている。一見、あまり目立たない印象のレスラーである藤戸だが、実は彼には「掃除屋」と呼ばれる裏の顔があった。依頼を受け、業界の掟を破ったレスラーや、素行の良くないレスラーをリング上で制裁し、高額の報酬を得るのだ。「掃除」を行っていることは、依頼者とごく一部の業界人にしか知られてはならない。よって、一方的に相手を叩き潰すのではなく、試合には負けながらも、故意に相手を負傷させ、欠場や廃業に追い込むのだ。なぜ藤戸はこんな裏仕事を引き受ける様になったのか。そのきっかけとなった過去のある出来事とは?やがて彼は、プロレスの威信を背負い、自らの命をも懸けた一戦に挑まざるをえなくなる。果たしてその結末は?
 
 著者の黒木あるじ氏は、これまで怪談実話作品で多数の著作があり、このジャンルではよく知られた作家であるが、大のプロレスファンであるということは関係者の間では有名な話。地元でプロレスの大会があると、かなりの確率で会場に足を運んでいるというし、常にあらゆるプロレス団体の動向に目を光らせている。怪談はもとより、怪奇幻想ものを中心とした文学作品や、民俗学についても造詣が深いため、講演やトークショーなどの依頼も受けることも多い氏であるが、その際にもお気に入りのレスラーのTシャツを着用して登壇している姿が目撃されている。また、氏の自宅では、志を同じくする者たちが集ってテレビを囲み、録りためたプロレスの試合を夜通し観戦しながら語り会う、といったことが定期的に行われているらしい。かつて雑誌対談企画で、有名現役プロレスラーより「何の生産性もない(笑)」と評されたこの会合では、エキサイトした揚句、技の解説と称してプロレス技のかけ合いになることもしばしばなのだとか。
 そんなプロレス愛あふれる著者の作品なので、プロレスファンにはきっと大満足の内容だろう。また、謎に満ちた依頼についてその真相を探るというミステリの要素もあり、魅力的な登場人物たちのリング外での人間ドラマも描かれているため、プロレスファンでなくても楽しめる作品になっている。ラストではすべての読者が胸を熱くさせることだろう。
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