静岡本店 「藤浪」のOh!ススメ本

ゴシック・カルチャー入門
2020年02月のオススメ本
ゴシック・カルチャー入門
後藤護/著
価格/2970円
 “學魔”高山宏御大の著作はそれなりに読んできたけれど、学生時代に止めを刺されたのは「ブック・カーニヴァル」(自由国民社)でした。1000ページを超える、學魔いうところの“巨著怪著”の一発目であり、その後の「新人文感覚 1」「2」(羽鳥書店)や最近の「トランスレーティッド」(青土社)へと連綿と続いています。
 御大が教鞭をとった東京都立大学や明治大学で、その毒っ気にあてられ道を踏み外した(!)学生は多かろうと想像しますが、つい最近もその系譜に連なるご仁が現れ始めています。昨年11月に「ゴシック・カルチャー入門」(Pヴァイン)を上梓した後藤護もその一人と言えるでしょう。
 ゴシックという言葉、一番人口に膾炙しているのは服飾面だろうと思われますが、あに図らんやもっと影響は多岐に渡っています。同書の目次を見るだけでも〈読む/見る〉(=文学)〈聴く〉(=音楽)〈装う〉(=服飾)〈聳びえる〉(=建築)という具合に。これは、単に後藤の著述上の切り口ではなく、古今東西の傍証を引いていることから充分にエビデンスとして機能している=実際に世間に入り込んでいると見るべきでしょう。小説に、雑誌に、映画に、音楽にその世界観が反映されているのです。まあ、言葉の起源が建築様式に端を発しているので、そちらからも各種芸術ジャンルとの相性の良さは推して知るべしなんですが。
 そういった歴史的経緯はさておき、今風に訳語をあてるとしたら同書帯にある“暗黒美学”が適切かもしれません。情報化が過度に進み、すべてがあらわになりつつある現在、それでもまだ世間知にはなりにくい、辺境に住まう好事家の滅びの美学。お好きな方も多いでしょうね。同書、断然のオススメです。
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