この本を読み終えた後、「人は本当に変わることができるか？」という長年の疑問に、ようやく答えを見い出せたように思えました。本書は、ただ単に脳の働きについて解説しているのではなく、人が生きていく上で、どのように人と関わり合いながら脳を使っているのかが、とてもわかりやすく書かれています。そして、「脳」は限りのない力を秘めていて、生きている間は「これで終わり」という出来事はないということも証明してくれています。
　今現在、人間関係で悩んでいる人や、将来のことを不安に思っている人にもおススメです。様々な人間関係の中で自分を鍛えていく方法を、ジャングルの中の多様性に例えていたり、どうなるかわからない未来との向き合い方については、本書で最もカギとなる「偶有性」という言葉を用いて、教えてくれています。
　著者がテレビでもおなじみの脳科学者、茂木健一郎ということもあって、著者の人柄とかさねて読むことができます。脳科学について興味のない人でも、詠み進めていくうちに、ぐいぐい引き込まれることでしょう。様々な啓発本の中でも、特に勇気付けられた一冊となりました。
　読み終えた後は、脳だけでなく心まで柔軟になる、そんなスゴイ力を持っている本です。