前作、旧ソ連秘密警察捜査官レオ・デミドフを主人公にした＜愛の骨太大河サスペンスドラマ＞三部作同様、怪しい登場人物、巧妙に練られたプロットと語りの妙で、やっぱり、最後まで読まずにはいられない作品になっている。
　最新作のミステリーという事で、ここでは、ネタバレに気をつけなければならないが、物語中盤から、最後の結末までは、事が事（欧米特有の暗黒面）だけに、悲惨な読後が心配になるが、真相が明かされ、なんだかホッと出来たのが嬉しかった。
前作3部作でも、最後、主人公に、「よくがんばった、きっと家族も君を理解して、愛してくれているよ」と、思えるラストだった。そして、今回も、いろいろな意味で、家族愛が試される作品ではあった。
　ぜひ、時間を作って上下巻一気に読んでいただきたい。今作品で興味を持たれた方、まずは『チャイルド44』をおすすめします。

※最近の北欧ミステリー（特にスウェーデン、デンマーク）から、目が離せません。ぜひ、一度『ミレニアム』から『特捜班Q』『刑事ヴァランダー』へと続く＜夜更かし必至作品＞を手に取ってみてください。『キリング』は、原作ではありません。老婆心ながら、TVドラマだけにしておいた方が良いかもしれません。